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虫歯の原因といえば「歯垢」ですよね。文字通り、歯の垢(アカ)のようなものでデンタルプラークと呼ばれることもあります。おそらく皆さんも小さい頃から、この歯垢という歯の汚れをきちんと落とすよう、ご家族やかかりつけの歯科医に言われてきたことでしょう。それとは別に、歯石という言葉もよく耳にしますよね。
「歯の石」という字面から、何となく歯垢が固まったものかなという認識の方も多いかと思います。そこで歯垢と歯石の違いについて、その成分から歯や歯周組織に与える影響まで詳しく解説します。
歯垢の特徴
ネバネバとした白色の物質
歯垢は、歯の表面に付着した粘着性のある物質です。普段はあまりその性質を実感することが少ないかもしれませんが、歯科用の器具などで触れると、糸を引くようにネバネバとしているのが特徴です。
色は基本的に白ですが、普段着色性の強い食品を食べていたり、タバコを吸う習慣などがあったりすると、黄色や褐色を呈していることもあります。このネバネバとした性質は、ブラッシング後に磨き残しがあるかどうかをご自身で判断する指標にもなります。
1グラムの歯垢に100億以上の細菌が存在する
歯垢の大部分は水で出来ています。具体的には80%が水分で、残りの20%は固形成分と呼ばれるものです。この固形成分の中に虫歯菌が含まれます。その数は、歯垢1グラム当たり100~1000億と言われています。
あまりに大きな数字なので想像がつきにくいところですが、とにかく微量でも歯垢にはとんでもない数の細菌が存在しているということを知っておいてください。
うがいをするだけでは取り除けない
うがいをする習慣は、風邪などの感染症を予防する上でとても大切です。また、口腔内には唾液や食べかすなどにも虫歯菌が付着していることがあるので、虫歯予防にもある程度効果があるといえます。ただし、虫歯の元凶となる歯垢は、うがいで落とすことが難しいといえます。なぜなら歯垢はネバネバとした粘着性のある物質だからです。
虫歯菌たちはそれを足場にして、歯にしっかりとしがみつこうとするのです。ですから、歯垢を落としてプラークフリーな状態を保つには、歯ブラシを使ったブラッシングが欠かせません。
歯垢が付着しやすい人としにくい人がいる
歯垢のつきやすさというのは、人によってかなり違います。毎日一生懸命ブラッシングしているのに、すぐ歯垢がたまる人もいれば、大してブラッシングしていないのに歯垢がたまらず、虫歯になりにくい人もいます。その違いは、口腔内の環境にあります。最も大きなポイントとなるのは、口腔内のpHです。pHが低いと酸性を意味し、高いとアルカリ性を意味します。
歯や歯周組織にとって最も適した環境というのは中性です。
歯垢は酸性の環境で付着しやすくなる
口腔内が酸性に傾くと、歯垢が歯面に付着しやすくなります。
酸性環境は虫歯菌の活動を活性化し、その増殖も促します。また、歯自体が酸に対して弱い性質を持っているので、酸性環境というのは、とにかく歯に対して悪いことばかりであるということを知っておいてください。
歯石の特徴
歯垢が石灰化したもの
歯石は、歯垢が時間をかけて固まったものです。歯の石というだけあって、実際に石灰化しています。つまり、リン酸カルシウムやハイドロキシアパタイトといった、歯を硬くしている成分がどんどん付着していきます。その割合は歯石全体の80%に及び、残り20%も唾液由来のタンパク質などが占めますので、水分はほとんどないといって良いでしょう。
この点だけで、ネバネバとした歯垢とは大きく異なりますよね。
早ければ2日後には石灰化が始まる!?
口腔内の状態というのは、人によって大きく異なります。それは唾液の分泌量や歯並びの状態などが影響してきます。ですから、歯垢が歯石に変わる時間も個々人によって大きくことなります。
目安としては2~14日程度で、歯垢の石灰化が始まってきます。つまり、早い人だと歯垢が付着してから2日後には歯垢が硬くなっていくのです。ちなみに、歯石の状態が安定する時期は8~15日程度と言われています。
そんな歯石は、一度定着すると歯ブラシでは落とせなくなります。石のように硬くなっているので、歯科医師や歯科衛生士が使う器具でなければ、適切に落とすことができなくなりますので要注意です。この点は、歯垢との大きな違いですね。
歯石のつきやすさを決めている要因とは
歯垢が歯石に変化する時間には個人差があります。上述した通り、早ければ歯垢が付着してから2日後に石灰化が始まる人もいるのです。遅い人では2週間後から石灰化が始まるケースもありますので、この差は大きいですよね。
具体的に何がこれだけの差を生んでいるかというと、最も大きなポイントとなるのは口腔内のpHです。つまり、歯垢のつきやすさを決めている因子と同じになりますが、その値が大きくことなります。
歯石はアルカリ性の方が付きやすくなる
歯石は、pHが上昇(アルカリ性)することで付着しやすくなります。歯垢はpHが低下し、口腔内が酸性に傾くことで付着しやすくなりますので、全く逆の性質を持っているといえますね。
この点を不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、歯石がどのように形成されていくかを考えると理解しやすくなるかもしれません。
歯垢の石灰化はカルシウムやリンが結合することで起こる
歯垢は、唾液中に存在するカルシウムやリンが結合することで硬くなっていきます。その結合力は、pHが上昇することによって高まっていくのです。口腔内および歯垢のpHがアルカリ性へと傾いていくと、ムチンと呼ばれる物質のカルシウム結合能が増強され、石灰化が進行していきます。
これはもともと、歯垢の性質というよりも歯そのものの性質であると言い換えることもできます。
歯は脱灰と再石灰化を繰り返している
歯は酸に弱い性質を持っていると述べましたが、実際、虫歯菌が産生した酸だけでなく、レモンやオレンジのような、単に酸性の強い物質に晒されるだけでも溶けていってしまいます。ですから、普段食事をしている際にも歯質の脱灰(歯が溶けること)は起こっているのですが、同時に食後、口腔内のpHが上昇することで再石灰化も起こっているのです。
これは、歯石が形成される過程と全く同じであるといえます。
まとめ
このように、歯垢と歯石というのは、一見すると似たもののように見えますが、構成成分や形成されるプロセスが大きくことなります。また、歯垢は主に虫歯の発生を助長し、歯石は歯周病の発生に寄与するという大きな違いがあることも知っておいてください。いずれにせよ、歯の表面に付着している期間をできるだけ短くすることが重要です。
毎日のブラッシングを徹底すれば、歯垢が歯石に変わる前に除去できますし、例え歯石に変わってしまったとしても、定期的に歯科を受診することで歯石を除去することができ、歯周病の発症を抑えることが可能となります。

ハーツデンタルクリニック西白井駅前の院長。城西歯科大学(現 明海大学)卒業。仕事でうれしい時は思うような治療ができ、患者様に喜ばれ、お礼を言われたとき。
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