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歯周病が進行し、「この歯はもう抜くしかない」と言われた経験はありませんか?近年では“意図的再植”という歯周治療の選択肢により、グラグラになった歯でも保存できる可能性が広がっています。ここでは重度歯周病でも抜歯したくない、抜歯を宣告されたが諦めたくないとお考えの方に向けて、意図的再植の基本からメリット・デメリット、保険適用の有無まで詳しく解説します。
歯周治療の意図的再植とは?
意図的再植とは、一度歯を抜いて、必要な治療(歯根端切除、歯石除去、病巣の清掃など)を行った後に、再び元の位置に戻す治療法です。通常は抜歯が避けられないとされるような重度歯周病や、歯根の破折、虫歯が歯根深くまで進行したケースなどで用いられます。
歯周病の末期で有用な治療法
歯周病が末期に近づくと、歯茎の骨(歯槽骨)が著しく失われ、歯が動揺(グラグラ)するようになります。こうした場合でも、歯の根の状態によっては、意図的再植によって「噛み合わせ機能の回復」や「審美性の維持」が可能となるケースがあります。
歯周治療の意図的再植の成功率について
意図的再植の成功率は、患者様の口腔内環境や術後のケア、歯の状態によって異なりますが、一般的にはおおよそ70~80%といわれています。歯周治療の意図的再植を成功させる上で重要なのは、歯の根の形態や歯槽骨の状態が良好であること、そして術後にしっかりとしたプラークコントロールと定期的なメンテナンスを継続できることです。特に歯周病が原因の場合、再発防止のための歯周治療の継続が不可欠となります。
歯周治療の意図的再植のメリット
歯周治療で意図的再植を行った場合は、以下に挙げる4つのメリットが得られます。
抜歯を回避できる可能性がある
重度の歯周病や歯根の破折などにより「抜歯しかない」と診断された場合でも、意図的再植によって歯の保存が可能になることがあります。これは、抜歯せざるを得ないとされる歯を一時的に抜去し、歯根表面に付着した歯石や感染組織、炎症性病変を直接的かつ確実に除去した後、再度元の位置に戻す治療法です。根の形態や歯槽骨の残存量、噛み合わせの状態など複数の要素が適応可否に関わりますが、適切な診断と術式をもってすれば、天然歯の延命が見込める貴重な手段です。
インプラントや入れ歯に進む前に、自分自身の歯を最大限に活かす治療として再評価されています。
直接視野下での病巣除去が可能
意図的再植では、抜去された歯を外部で操作できるため、歯根の先端に存在する肉眼では見えにくい細菌感染巣や歯石を、拡大視野や染色法を用いて可視化し、物理的かつ確実に除去することが可能です。とくに、深い歯周ポケット内の病変や根分岐部病変(こんぶんきぶびょうへん)など、従来の非外科的アプローチでは限界があった病巣へのアプローチが可能になる点は大きなメリットです。また、根尖部に病変がある場合には、必要に応じて逆根管充填などの追加処置も実施でき、感染再発のリスクを軽減できます。
噛み合わせと隣在歯への影響を最小限に抑える
抜歯を行うと、その部位の噛み合わせが崩れ、隣接する歯の傾斜や挺出(ていしゅつ)、さらには対合歯の移動が起こることがあります。これにより、長期的には噛み合わせ全体のバランスが乱れ、顎関節への負荷増大や咀嚼機能の低下を招くおそれがあります。意図的再植で歯を保存できれば、これらの二次的問題の発生を防ぎやすくなります。
噛み合わせの安定は、咀嚼効率や発音機能の維持だけでなく、全身的な健康維持にもつながります。
審美性の高い仕上がりを期待できる
とくに前歯などの審美領域では、歯を失うことで顔貌の印象や笑顔の見え方が大きく変わることがあります。意図的再植では、患者様ご自身の天然歯を再利用するため、形や色調、透明感において非常に自然な仕上がりが期待できます。セラミッククラウンなどの補綴物では再現が難しい個人特有の微細な色合いや形態も保たれるため、審美性を重視する患者様にとって大きな利点といえるでしょう。
歯周治療の意図的再植のデメリット
歯周治療における意図的再植には、以下に挙げる4つのデメリットを伴います。
成功率には限界がある
意図的再植は万能ではなく、すべての症例に適応できるわけではありません。歯根が大きく破折している場合や歯槽骨の吸収が大きい場合には、成功率が著しく低下します。
再発のリスクがある
歯周病が再発すれば、再植した歯も再び動揺や脱落のリスクがあります。継続的なメンテナンスが必要です。
一時的な不快感や腫れを伴う
外科的処置を伴うため、術後には痛みや腫れ、違和感が出ることがあります。ただし、一般的には数日で改善します。
治療期間と通院回数がかかる
再植後の経過観察やメンテナンスを含めると、治療完了までには一定の時間が必要です。
歯周治療の意図的再植の保険適用について
意図的再植は、基本的に自費診療となります。ケースによっては歯周治療の意図的再植を保険適用で実施できることもありますが、極めて稀といえるでしょう。そのため「歯を残すことを最優先に考えたい」「抜歯宣告を受けたが、再植の可能性があるか知りたい」という方は、まずは歯科医院で保険適用の可否を含めたカウンセリングを受けることをおすすめします。
まとめ
意図的再植は、抜歯を宣告された歯でも「残す」という選択肢を提供できる先進的な治療法です。成功率や保険適用の範囲、メリット・デメリットを十分に理解した上で、自分に最適な治療を選ぶことが大切です。重度の歯周病であっても「歯を残したい」と願う患者様にとって、希望の持てる治療法として、ぜひ知っていただきたい選択肢です。